思い出アルバム・卒業式の日

当時の豊中一中には、体育館や大講堂といった施設や建物が無かったため、我々の卒業式は少し離れた所にある南桜塚小学校を借りて行われた。
卒業式の後、仲のよかった幾つかのグループが学校に戻って記念写真を撮った。それぞれの思い出深い校内のあちこちを、思い思いの表情でカメラに収まった。すでに進路の決まった者もいれば、これから入試に挑む者あり。新しい世界への期待と不安の入り混じった一人ひとりの表情。この日ばかりは、受験勉強のことは忘れて、日の暮れる頃まで別れを惜しんだ。





















当時校庭南側のフェンスの向こうは崖になっていた。この崖も生徒達にとって格好の遊び場だった。また、ソフトボールやサッカーなどのボール遊びをしていて、ボールがフェンスを飛び越えて崖下まで転げ落ちていくことが度々あった。崖といっても、高低差10メートル程で傾斜も45度程度の斜面になっていて、さほど危険な場所ではなく、誰もがここで遊んだことのある思い出深い場所である。学校に残った皆が、この崖でカメラに収まった。そしてこのようにふざけ合うのもこの日が最後だった。数日後には公立高校の入試を控え、さらにそのあとには一人ひとり新たな旅立ちが待っている。1964年3月14日のことだった。